多摩けいざい

統計レポート

多摩地域の消費動向について

2018年7月25日

ページ 3/3

インターネットでの購入増加によってお金はどの地域に集まるのか


 消費者のインターネットでの購入が増えることによって、当然ながら地域の商業環境に影響が及びます。そこで、今度は商業に関する統計からインターネット小売業の特徴を見ていきましょう。なお、ここでは「無店舗小売業※1」をインターネット小売業の代替指標とみなして分析を実施しています。

 「経済センサス―活動調査」によると、全国の無店舗小売業の年間商品販売額は、2012年の6兆6,540億円から2016年の9兆3,377億円と、この4年間で1.4倍に拡大しており、非常に速いペースで成長しています。金額も小売業の販売額全体の6.8%を占めています。この無店舗小売業の地域別の分布状況について見てみましょう。

 図表 5は、全国市区町村別の小売業年間商品販売額を小さい順に左から並べたときの累積構成比を表しています。曲線が45度線に近いほど、全ての市区町村の販売額が等しく(つまり均一に分布している)、45度線から離れるほど地域ごとの販売額のばらつきが大きいことを意味します。これを見ると、無店舗小売業では、その他の小売業と比べて、45度線からの乖離が大きく、特定地域に偏っていることがわかります。

図表 5 小売業商品年間販売額の市区町村累積分布曲線(2016年)

(備考)総務省・経済産業省「平成28年 経済センサス―活動調査」

 では、無店舗小売業の販売額が高い地域はどこなのでしょうか。それは、圧倒的に東京都23区であり、全国の無店舗小売業の販売額の26.9%のシェアを占めています(図表6)。ちなみに、多摩地域は全国の2.3%のシェアとなっています。

 つまり、インターネット購入が増加すると、ますます多くのお金が23区に流出していくことになります。地域の小売業にとっては、より一層厳しい環境となっていくだけでなく、地域内の経済循環縮小にも繋がりかねません。特に23区通勤者が少ない西部エリアではマイナスの影響が大きいと考えられます。(中西 英一郎)

図表 6 市区町村別の無店舗小売業年間商品販売額

(備考)総務省・経済産業省「平成28年 経済センサス―活動調査」より、たましん地域経済研究所作成

※1 「無店舗小売業」には、インターネットやテレビショッピングなどによる通信販売のほかに、訪問販売、自動販売機などが含まれます。

『多摩けいざい』トップへ戻る