多摩けいざい

特集 多摩のうごきを知る

飲食業の将来を見据えた取組み

2023年10月25日

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SNSの活用によるアプローチ/有限会社たるたるジャパン


たるたるジャパンの横田氏

 福生市に本社を構える有限会社たるたるジャパンは、都内で12店舗の飲食店を経営している。多摩地域では「横田酒場」、「餃子のニューヨーク」、「カオマンガイバザールakari」など、立川を中心に9店舗を展開し、和食からエスニック料理まで、店ごとに異なる雰囲気や味わいを楽しむことができる。同社では何年も前からSNSによる発信を行ってきた。今や欠かすことのできないマーケティングツールとなったSNS、中でもInstagramとLINEの活用について、専務取締役の横田広之よこたひろゆき氏に話を聞いた。

 店舗ごとにInstagramのアカウントを持っている同社。各店舗の商圏の顧客を、少しずつでも増やすことが主な目的だ。運用は各店舗のスタッフが行っている。写真や動画がメインのInstagramでは、週替わりメニューやその日のお勧めメニューなどの投稿が中心となっている。社員だけではなく、流行や最新のトレンドに詳しい学生アルバイト、店や常連客を熟知している主婦層のパートなど、さまざまなスタッフが投稿するという。

 一部の店舗ではLINEの公式アカウントも使っている。LINEは他のSNSと違い有料ではあるものの、登録しているユーザー宛てに直接メッセージを送ることができる。ランチメニューの情報などを定期的に配信することで、ユーザーの日常使いの選択肢に入ることが狙いだという。また、LINEの公式アカウントは、一度来店した際に店を気に入ってその場で登録したユーザーも多い。そのため、同社ではInstagramで広く集客を図り、LINEの公式アカウントで常連客を増やす、といったイメージで運用を行っている。

 さまざまなSNSを活用する一方で、反響が大きくなりすぎないようにしたいという思いもある。「常連のお客様や地域の方々のお陰で今がある。SNSは、時代に沿ったマーケティングツールの一つとして、各店舗の商圏の人に届くような範囲で上手く活用していきたい」と横田氏は話す。

 人気店を次々と生み出してきた同社。人材面では、以前と比べて店舗運営に必要な人数が1.5倍ほどに増えているという。大学生やフリーターの働き方に変化が生じており、1人当たりの労働時間が減少しているからだ。同社では今後、ワークライフバランスの向上など社内環境の整備にも力を入れていくことで、人材確保を進めていくつもりだ。

飲食店におけるデータ分析・活用/TITC合同会社


TITCの富田氏

 次に紹介する府中市のTITC合同会社は、経営コンサルタント業務のほか全国各地の自治体などから受託した経営者向けの研修や創業支援セミナーを行っている企業だ。代表社員の富田良治とみたよしはる氏は、関連会社が京王線の府中駅近くで展開する和食料理店「割烹 阿吽」の店舗運営にあたりデジタルツールを多数導入、さらにそこから収集したデータの分析を行い、経営に活かしている。

 「割烹 阿吽」では、予約システムやオーダー端末など店内オペレーションに関するもののほか、財務会計、経費・勤怠管理まで10以上のクラウドサービスを活用している。デジタルツールを導入することでさまざまなデータが1カ所に集約され、スタッフ間でのデータの共有や、データの分析・活用も可能となる。顧客の予約情報と注文情報は連携しており、例えばそこにお酒の好みなどを入力することで、次に来店した際にどのスタッフでも好みに合った提案をすることができる。

 これまで、リピート率や、客層、客単価などのデータをグラフにし、分析を行ってきた。肌感覚に頼るのではなく、データを可視化することで、どこを改善すべきなのかが一目瞭然になるという。「日々の損益や顧客情報を共有することで、一人ひとりのスタッフがお客様へのサービス向上やより良い店舗運営を主体的に考えるきっかけになる」と富田氏。

 ほかにも同社では、昨年府中市内に駄菓子屋「富田商店」をオープンした。日中の店頭販売のほか、“24時間営業の駄菓子屋”として駄菓子や冷凍食品の自動販売機を設置した斬新な店構えだ。地元の商店街に空き店舗が増えている現状を目の当たりにし、子どもから大人まで集える場所を作ろうと思い立ったという。店舗の2階にはレトロな雰囲気を再現した部屋を作り、シール交換台帳などを設置して地域に開放している。次は、駄菓子の食べ放題をコンセプトにした居酒屋のオープンを予定している同社。駄菓子を接点に地域に賑わいを創出していきたい考えだ。

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