多摩けいざい
特集 多摩のうごきを知る
地域を豊かにするスマートシティ
2023年7月25日
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全国各地の自治体で多くの地域課題に直面している昨今、日々進化し続けるデジタル技術を活用した「スマートシティ」を目指す自治体が増えている。今回の特集では、スマートシティの概要とともに、多摩地域における先進的な取組みとして八王子市の南大沢エリアと東村山市の事例を紹介する。
デジタル技術で地域の課題に挑む
スマートシティとは、デジタル技術の活用により、都市や地域が抱えるさまざまな課題を解消し、そこに暮らす人々の暮らしの利便性や快適性の向上を目指す都市・地域のことである。
住みやすいまちづくりとは何かを考える上で、現在日本が直面するさまざまな地域課題から目を背けることはできない。人口減少や少子高齢化への対応、また老朽化した公共施設の管理や自然災害時の対策など、各自治体が抱える課題は幅広く、多岐にわたっている。一方で、デジタル技術の発展が進む今の世の中では、新たなシステムやデータを活用したサービスが次々と生まれており、私たちの生活をより便利に、そして豊かなものにしている。スマートシティでは、そうした技術によって地域課題を解決に導き、さらに蓄積されたデータをさまざまな分野で活用することで、誰もが住みやすいまちづくりを目指す(図1)。また、一時の取組みで終わるのではなく持続可能なものであること、さらには自治体・住民・地域の事業者などとの横のつながりのもとに行われることが望ましいとされている。
すでに全国各地で行われているスマートシティの取組みの中には、先進事例のロールモデルとなっている都市や地域もある。スマートシティの概念が指し示すものは幅広く、その分当てはまるサービスや適用される分野も広範囲にわたる。例えば、モビリティ(人やモノの移動)分野では、都市部での自家用車の集中による交通混雑の緩和のために、位置情報や交通観測データを利活用し移動の最適化を実現する、といったことが挙げられる。また、過疎地域における公共交通の確保や交通空白地帯の解消のために、自動走行のバスを導入する、といったこともスマートシティに当てはまる。
しかし、現状では取組みを進める上での課題もある。多くの自治体で挙げられているのが、事業の継続性の問題だ。自治体の財政が限られる中、公的な支援がなくなってからも、持続的にサービスを提供していくことができるかどうかは、スマートシティの大きなポイントとなる。今のところスマートシティの実現に明確なゴールはなく、各地域における取組みはいまだ発展途上の状態で、さらなる進展に向けて歩みを進めている最中だ。
(図1)スマートシティのイメージ(出典:内閣府「スマートシティガイドブック」p11)