多摩けいざい
お客さま景気動向インタビュー
有限会社三和精機工業所
代表取締役社長 原寛之氏
2024年10月25日
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精密板金加工として、主に航空機内装品を製造する有限会社三和精機工業所。八王子市にある本社のほか、山梨県上野原市には大型機械を複数設置したマシニング工場を構え、さまざまな大きさ、形状の板金加工に対応している。また、加工から塗装、組み立てまで一貫した生産体制が同社の強みだ。
アルミ加工に特化した数少ない企業として
当社では、主にアルミニウムの素材を用いた精密板金加工とマシニング加工を行っています。ステンレスや鉄を扱うこともできますが、航空機業界に活路を見出し、アルミ加工の技術に特化してきました。その中でも、アルミの薄板溶接を得意としているのが当社の特長です。航空機業界に参入したのはおよそ40年前で、先代が航空機関連企業から協力を求められたのがきっかけでした。現在では、旅客機の内装品を製造しており、板金加工、マシニング加工、組立、塗装まで自社一貫生産体制をしています。そのため、工程や品質が安定しており、顧客のニーズに応えやすくなっています。
コロナ禍では、航空機業界全体が大きな打撃を受けたことで、当社にとっても厳しい状況が続きました。今はコロナ禍以前の業況まで戻りつつあるものの、原材料や光熱費などあらゆるものが高騰していることもあり、少しでもロスをなくすため、生産工程を見直しています。
社内改革を進めて働きやすい環境に
現在の社員数は42人で、40代の社員が多く在籍しています。先代の頃はいわゆる昔ながらの町工場でした。6年前に私が社長に就任してから、働きやすい会社を目指して、職場環境向上のためのさまざまな取組みを進めてきました。エアコンや空調設備の増設といったハード面はもちろん、ワークライフバランス改善のため、有給休暇の取得推進や、仕事の進捗に合わせて働き方を自分で調整できるようにするなど、ソフト面も時代に即した環境づくりを行ってきました。風通しが良く働きやすい職場づくりに努めたことで、人材にも恵まれ、離職率も低下しています。
ほかにも、仕事を進める上での手順やルールなどを明文化したマニュアルの作成も始めました。板金加工は手作業が必要な工程が多く、以前は上司や先輩のやり方を見て、自分の体で覚えることが普通でしたが、若い世代にはそうしたやり方では上手く伝わりません。マニュアルを作り、それをパソコン上に保管することで、ペーパーレス化とデジタル化も進めています。
大型機械が並ぶ山梨マシニング工場継続的な設備投資と生産管理の効率化を目指して
この先も技術力を高めて、質の高い製品を作り続けていくために、展示会などに積極的に足を運び、最新の機械を導入できるような体制を整えていくつもりです。同時に、生産管理についても、時代に合った方法を目指してデジタル化を進めていきたいです。
また、コロナ禍を経験したことで、取引先を広げることの重要性について考えるようになりました。今後は航空機業界以外にも、半導体業界など新たな取引先を増やすべく、当社が持つ強みをアピールしていきたいです。
(インタビュー日時: 2024年9月10日)
有限会社三和精機工業所
代 表 者: 原 寛之
本社所在地: 東京都八王子市暁町1-13-14
業 種: 精密板金加工