多摩けいざい

特集 多摩のうごきを知る

多摩地域の中小企業の新たなる挑戦

2023年4月25日

ページ 2/3

有限会社アイグラン


アイグラン 岩田社長

 有限会社アイグランは、「安全・安心・健康」をモットーに、自家製酵母と水にこだわったパンの製造・小売を行う、地域の人々に長年親しまれてきた町のパン屋だ。店舗は日野市の「石窯パン工房アイグラン 泉塚店」のほか、昨年新たに八王子市にも「ビバホーム八王子多摩美大前店」をオープンした。コロナ禍では、お客さまからの意見や他社の対応を参考にしながら営業を続けてきた。

 同社の新たな取組みは、こんにゃくペーストを使用した低糖質パン「LOCAPA」の開発である。以前より独自性のある商品開発に取り組んでいた同社では、試行錯誤の末、2021年に開発に成功し、販売を開始。味や品質、見た目など、一切妥協せずに作り上げた自慢の一品だ。取締役の岩田利夫いわたとしお氏は、コロナ禍で人々の健康志向や食へのこだわりの高まりを感じたといい、低糖質でヘルシー、かつ美味しいLOCAPAを、より多くの人に知ってほしいと、販路の拡大を模索し始めた。店舗での販売のほか、医療機関や介護施設からの需要も見込んでおり、現在は外部の専門家の力を活用し、商標登録を含めたLOCAPAのブランディングを進めている。

 ほかには地域の輪を広げようと地産地消の取組みにも力を入れており、日野市のトマト農家とコラボした商品なども好評だ。岩田氏は「今まで地域のお客さまに支えられてやってこられた。コロナ禍を乗り越え、現状からさらに一歩踏み出すには、独自性を持った商品が必要だった。LOCAPAシリーズは自信を持って勧められる商品なので、生産体制を整えてたくさんの人に届けていきたい」と力を込める。

株式会社R&H


 株式会社R&Hは、ミセス向けの婦人服を扱うアパレルショップ「la primavera」を、多摩地域を中心に10店舗展開している。代表取締役の田中陽子たなかようこ氏が海外から買い付けたこだわりの商品が並ぶセレクトショップで、コロナ禍でも根強いファンや固定客に支えられてきた。

 緊急事態宣言の発令により一時期は全店舗休業せざるを得なかった同社がコロナ禍で始めたのは、YouTubeチャンネルの開設である。日頃から各店舗を回りスタッフへの指導や店頭のディスプレイを行っていた田中氏が、社内教育用として撮影したコーディネートの動画を一般公開したところ、たちまち再生回数が増えていった。田中氏自らが商品を使い、ちょっとした工夫と季節感のある着こなしを紹介しており、現在はショートと呼ばれる1分の動画が中心だ。中には50万回以上再生された動画もあり、チャンネル登録者数は2万人を超えている。

 多くの人の目に留まった理由について田中氏は、「家で過ごす時間が増えたことに加えて、私自身が等身大で発信する姿が、おしゃれをしたい同年代の女性の心に響いたのではないか」と推測する。YouTubeを始めたことで全国の視聴者から反応があり、新たなお客さまや取引先からの問い合わせが増加するなど、さまざまな場面で手応えを感じている。

 特別な一点に出会えるセレクトショップとして、店舗は維持しつつ、今後はオリジナル商品の販売やECサイトの開設も視野に入れている。田中氏は、「この先も自分自身が楽しみながら、身の丈に合った経営を続けていく。その中でも、新しい事業形態を取り入れることや他業種とのコラボ、女性の活躍の場を広げることなど、色々なことに取り組んでいきたい」と展望を語った。

R&H 田中社長

『多摩けいざい』トップへ戻る