多摩けいざい

お客さま景気動向インタビュー

有限会社三上鰹節店

代表取締役 三上康子みかみやすこ

2022年10月25日

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 削りたての鰹節が看板商品の有限会社三上鰹節店は、立川市で昭和9年から店を構えている。現在は3代目である三上康子氏が代表を務めており、創業以来無添加と産地へのこだわりを貫き、新鮮で美味しい商品を提供し続けている。創業時から世代をまたぎ同社の鰹節を愛用する常連客も多く、長年にわたり多摩地域の食を支えている。

事業の概要について


代表取締役 三上康子氏

 鰹節の製造加工、小売、卸売が主な事業ですが、他の海産物や乾物なども取り扱っています。当社では、鰹節は毎日職人が削った削りたてのものを店頭に並べており、長持ちさせるための窒素ガスなどの添加物は一切使用していません。常に新鮮で高い品質の鰹節を提供することが当社の特長であり、多摩地域で唯一無二のものであると思っています。また、オリジナル商品のふりかけ「多摩かつお」は、今年立川観光コンベンション協会の立川推奨認定品に選ばれました。

経営動向について


 当社では、漁獲量の変動が仕入れや売り上げに直結します。ここ数年は、海水温度の上昇による海洋環境の変化など様々な要因から不漁が続いており、思うように仕入れができず厳しい状況が続いています。当然仕入れ値も大きく上がっており、今年9月には一部商品の値上げに踏み切りました。過去に一度だけ消費税増税に対応するために値上げをしましたが、その時以来のことであり苦渋の決断となりました。自然環境は人間の力で太刀打ちできるものではありませんが、お客様から「他では手に入らないようなものも、ここに来れば揃う」と頼りにしてもらうことも多く、その期待に応え続けられるように大変な状況を乗り越えていきたいです。

 店頭販売のほか、地域の飲食店や学校とも取引があります。特に学校関係は、立川、昭島、日野、国立のほか区部の学校にも納めており、給食に使うものなので量が多く、売り上げの中でも比重が大きくなっています。栄養が詰まった美味しい鰹節で作る本物の味を多くの子どもたちに知ってもらうため、学校で食育の授業をすることもあります。

店内には用途に応じた数種類の鰹節が並び、良い香りが漂う

今後の事業展開について


 鰹節で取るだしは、時間が掛からずとても手軽で美味しいものですが、馴染みがない人にとってはどうしても敷居が高く思われがちです。今の状況が落ち着いたら、自然の恵みや日本の伝統的な食文化を次の世代に伝えていくためにも、鰹節やだし、和食のことを広める活動にさらに力を入れたいです。

 また、初めての試みとして、現在立川にあるパン屋で当社の鰹節を使った商品を販売しています。今後も様々な飲食店とコラボレーションをしたいと考えており、鰹節が持つうま味を異なるジャンルの料理と掛け合わせて、新たな美味しさを発掘していきたいです。


(インタビュー日時: 2022年9月26日)

会社概要

有限会社三上鰹節店
代表取締役: 三上 康子
本社所在地: 東京都立川市曙町2-8-30
業種: 鰹節製造・小売・卸売業

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