多摩けいざい
お客さま景気動向インタビュー
株式会社ジャパンバルーンサービス
代表取締役社長 町田耕造氏
2022年4月25日
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東村山市にある株式会社ジャパンバルーンサービスは、フランス熱気球世界選手権日本代表にもなった町田耕造氏により1978年に設立された、熱気球を専門にする日本でも数少ない会社である。今年で30年目の開催となる熱気球大会のシリーズ戦「熱気球ホンダグランプリ」の企画・運営を行っている。
事業の概要について
熱気球の大会やイベントの運営をはじめ、販売・貸出など熱気球に関する様々な事業を行っており、中でも大会の運営による売上がおよそ半分を占めています。また、熱気球を通じた社会貢献や地域振興にも力を入れており、その一つが子どもに向けた環境教育である「ワンダーグローブ・プロジェクト」です。これは、宇宙から撮影した地球をプリントした気球を、もう一つの別の気球に乗って上から眺めることで、地球の美しさや自然の偉大さを感じてもらおうという取組みです。
当社ほど熱気球に特化した会社は日本でも珍しく、この専門性こそが強みです。また、現在熱気球の観光フライトの事業化を進めており、実現すれば新たな事業の柱になりそうです。
熱気球を通じた地域振興について
毎年4~5つの大会で争う「熱気球ホンダグランプリ」は、多い年には計150万人以上の観客が集まります。中でも最大規模の佐賀大会は1980年に始まりました。当時は熱気球自体が日本でほとんど知られていませんでしたが、時間をかけて徐々に地域に根付き、今では佐賀県最大のイベントにまで成長しました。経済効果はおよそ100億円とも言われています。佐賀での成功は、他の地域で大会を開催する際の後押しとなり、評判を聞いた自治体から開催の要望をもらうようになりました。大会の際は熱気球だけでなく、例えば地元の漁協によるニジマスのつかみ取りや、地域団体による凧揚げ、竹馬体験、蕎麦打ちなども行われ、地域をあげてのお祭りとして、多くの家族連れで賑わいます。長野県佐久市の大会では、観客のうち約3割は首都圏から来ているとみられており、地方にとっては重要な観光資源となっています。
業界内の動きとしては、コンサートなどの無観客開催やオンライン配信が始まりました。そのための機材や人員は多少必要になりますが、オンライン配信を取り入れることで従来よりも観客数を増やすことができます。例えば、今までは1万円のチケットで1万5,000人を動員していたイベントが、オンラインになると3千円で10万人を集めることができます。このように、イベントの規模が大きくなってもコストはさほど変わらないため、意外と利益が確保できることがわかりました。今後は、有観客であっても同時にオンライン配信を行うなど、時代に合った方法が定着していくと考えています。
今後の事業展開について
まずは、熱気球の観光フライトを実現させたいです。現在国内には観光フライトを行うための制度が存在しておらず、国会議員を巻き込んで法律の制定に向けて動いているところです。海外ではすでに盛んに行われている観光フライトには、中国をはじめとしたアジア諸国の人々も高い関心を持っています。いずれは日本各地、それも今まで外国人観光客があまり訪れる機会のなかった場所で観光フライトを行うことで、更なる地域振興につながるのではないかと考えています。
熱気球は雨や風など天気の影響を大きく受ける、自然を相手にした乗り物です。今後も熱気球を通して自然や環境に関する様々なことを、未来ある子どもたちに伝えていきたいです。
「ワンダーグローブ・プロジェクト」の様子(インタビュー日時: 2022年3月14日)
株式会社ジャパンバルーンサービス
代表取締役: 町田 耕造
本社所在地: 東京都東村山市野口町4-20-3
業種: 広告宣伝業