多摩けいざい
お客さま景気動向インタビュー
株式会社寺子屋
代表取締役 間光男氏
2021年7月30日
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季節の移り変わりを感じることのできる本店の庭園コロナ禍における取組みについてはいかがでしょうか?
多くの飲食店と同様に、当社も新型コロナウイルス流行による影響を受けています。特に昨年は、前年比で売上が20%を下回る月もあり、多大な影響を被っています。また、私たちレストランだけでなく、食材の仕入先や、リネン、クリーニング業者の方々も同様に苦しい状況にあります。仕入先からは、東京オリンピックを見据えて何年もかけて準備した高級な肉や魚が売れないという悲痛な声が聞こえてきます。そのような状況下でも、当社にできることを考え、コロナ禍で需要が激減した高級食材を使ったフルコースを破格の1万円で提供する「三方良しプラン」を、昨年5月から期間限定でご用意させていただきました。三方とはお客様、生産者、そして当社です。このプランは、SNSや口コミで評判が広がり、メディアにも取り上げていただいた結果、月によっては前年比180%の売上となるほど大きな反響を呼びました。現在はオンラインショップで三方良しプランのディナーセットを販売しています。
三方良しプランで使ったアワビは、私が以前から応援している東京・日の出町の障害を持った方が働く事業所で作られたものです。私たちが日々働く中で、自社の利益を出すことも大切ですが、同時に外にも目を向けて社会に関わる様々な方と繋がっていく必要があると思っています。今後も一生懸命やっている業者の方々を応援し、双方にとってプラスになるような対等な関係を築いていきたいです。
飲食業界の復興に向けた動きについて教えてください。
今回のような危機的状況に見舞われたことで、通常通りの営業ができることのありがたみを強く感じています。また、レストランである私たちが頑張ることで、様々なサプライヤーが回っていくということも、改めて実感しました。飲食業界はまだまだ厳しい状況が続いています。飲食業に従事する者として、今まで積み重ねてきたものを糧に、自分たちが社会のお役に立てることをしなければ、と使命感を感じています。
そのような思いから、昨年から様々な活動を行っています。人間が一人ひとり違った人格であるように、飲食店も店ごとに特徴があり、それぞれ異なるものです。画一的な制限や補償ではなく、店ごとの実情に合わせた対応が必要不可欠です。飲食店において一番守るべきものは雇用です。雇用を守るためにお金を切り崩して従業員の給与を払っている店もあります。今必要なのは、従業員の給与の補償であり、それがあれば、従業員は慣れた職場を辞めずに済みます。同じ給付でも、失業保険を出すよりは、今いる従業員を継続して雇用するための補償の方が効率的です。そういったことを訴えるため、料理人の仲間と会議を重ね、感染防止策を点数化する仕組み作りに関するレポートや、飲食業界の復興試案を作成し、政府に政策提言を行っています。業界全体が力を合わせて協力し、支え合い、この危機を乗り越えていきたいです。
(インタビュー日時: 2021年6月25日)
2020年8月にオープンした新店舗 SUD Restaurant
株式会社寺子屋
代表取締役: 間 光男
本社所在地: 東京都小金井市前原町3-33-32
業種: 飲食業