多摩けいざい
お客さま景気動向インタビュー
株式会社アドニクス
代表取締役 小島要氏
2021年1月25日
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人工衛星などに搭載する通信機器の開発・製造を行う同社。小惑星探査機「はやぶさ2」に搭載された小型表面探査ロボット「ミネルバ2」に同社の通信機器が採用されるなど、宇宙関連の事業で実績を積む。最近では、宇宙関連事業のベンチャー企業との連携も始めており、新たな販路開拓も進めている。
代表取締役 小島要氏当社について
私は、もともと他の宇宙関連ビジネスを手掛ける企業に技術者として勤めていましたが、会社の規模が拡大するにつれて、マネジメントの役割が多く求められるようになり、自分自身でものづくりが行えなくなってきました。その後、別の会社でもお世話になりましたが、「ものづくりに直接携わりたい」という想いを持ち続け、今から約20年前に当社を立ち上げました。
現在、売上の構成比は、宇宙関連事業がほとんどです。主に大学の研究所向けに、人工衛星に搭載する通信機器を開発製造しています。そのほかにも国立研究開発法人宇宙航空研究開発機構(JAXA)からの受託業務を行っており、最近話題になった「はやぶさ2」のミネルバ2にも当社の通信機器が搭載されました。
ものづくりについて
当社は、ものづくりで研究者を助けたいという想いから業務を行っています。地球と人工衛星との通信距離は、2,000㎞以上という超遠距離であるため、これに対応する通信機器は販売されていません。そのため、研究者はプロジェクトに合わせて通信機器を特別に開発しなければならず、費用負担が重くなりがちです。そこで当社では、創業当初から培った通信技術の蓄積と少人数で開発を行う作業工程の効率化を進めることによって、研究者のニーズと事業予算に合う通信機器の開発を行い、研究者をサポートしています。
製品の製造工程は協力会社へ依頼し、オール多摩・八王子の中小企業が連携して製造しています。このメリットの1つは、スピードです。信頼関係ができている企業同士ですので、製品を持ち寄れば、すぐに具体的な作業に取り掛かれます。ミネルバ2に搭載した通信機器もオール多摩・八王子の中小企業が連携して製造しました。
「超小型衛星搭載ユニット」とその内部今後の事業展開
JAXAとの業務については、月や火星へ行くプロジェクトで使用する通信機の開発に着手しています。大学の研究所向けには、教育の目的で毎年3~4機程度の人工衛星を打ち上げていますので、通信機器の需要は順調に推移すると思います。
また今後は、通信機器の標準化を目指していきます。現在は、人工衛星のプロジェクトごとに異なる通信技術を使用していますが、標準化することでより安価に製品が提供できるようになるでしょう。標準化した製品を、今後成長が見込まれる宇宙ベンチャー企業向けに販売していきたいです。
(インタビュー日時: 2020年12月25日)
株式会社アドニクス
代表取締役: 小島 要
本社所在地: 東京都八王子市台町4-45-15 アルカディア西八王子2F
業種: 無線通信機器製造業