多摩けいざい
特集 多摩のうごきを知る
イノベーションに挑む多摩地域の中小企業
2020年10月26日
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ビッグデータやIoT、AI、ロボットなどを活用した新サービスの登場により、「第4次産業革命」と呼ばれる大きな変化を迎えようとしている現代では、予想を上回るスピードでビジネス環境が変化している。
時代の転換期にある今、多摩地域の中小企業は、どのように新たな価値を生み出すイノベーションを創出しているのだろうか。技術を活用して社会課題を解決する2社の事例を通じて、その動向に迫る。
イノベーションとは
イノベーションとは、1912年にシュンペーターによって初めて定義され、その後時代の変化とともに進化してきた言葉である。イノベーションに関するデータの収集、報告及び利用のための国際標準指針である「Oslo Manual 2018※1」によると、「イノベーションとは、新しい又は改善された製品や仕組み(その組合せを含む)であって、今までの製品や仕組みとは大きく異なったもので、製品が潜在的ユーザーに利用されたものや社会や企業などに仕組みとして用いられるようになったもの」としている。この定義によれば、新たな製品やサービス、仕組みの開発だけではイノベーションとは言えず、それらが市場に受け入れられ活用されて初めてイノベーションと呼ぶことができると考えられる。また、イノベーションは、次の2つに類型される。1つは「プロダクト・イノベーション」であり、もうひとつは「ビジネス・プロセス・イノベーション」である。
次に、イノベーション創出の活動は、どう整理できるのか。「オープンイノベーション白書※2」では、イノベーション創出を3つの枠組み(Input・Output・Outcome)として整理している(表1)。創出した成果・事象がイノベーションとなるためには、活動(input)とその結果となる製品・サービスなどのビジネス(output)の創出だけでなく、市場に変化をもたらすというoutcomeを含めてデザインをすることが肝要であると指摘している。企業が市場に変化をもたらすためには、お客さまの課題を解決して社会に受け入れられる必要がある。これは、企業が事業を行う上で、本来追い求めるべきものであると考えられる。
では、実際に企業はどのようにイノベーション創出に取り組んでいるのか。今回は、電気通信大学UECアライアンスセンター※3に入居する2社に対して実施したインタビューを基に考察してみたい。
表1 イノベーション創出の枠組み 出所)『オープンイノベーション白書(第三版)』
※1 OECD,Eurostat(2018) Oslo Manual 2018 Guidelines for Collecting, Reporting and Using Data on Innovation, 4th Edition
※2 オープンイノベーション・ベンチャー創造協議会、国立研究開発法人 新エネルギー・産業技術総合開発機構(2020)『オープンイノベーション白書第三版』
※3 電気通信大学UECアライアンスセンターは、技術開発や学生との協働開発を指向する企業が入居する先端共同研究施設である。詳細については、同センターホームページを参照。