多摩けいざい

特集 多摩のうごきを知る

多摩モノレール20年の歩み

多摩都市モノレールインタビュー

2019年7月25日

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2019年3月にダイヤ改正を実施されました。お客様からの反響はいかがですか。

 今回、開業以来初となる本格的なダイヤ改正に取り組みました。このダイヤ改正のポイントとしては、第1に始発終電時間を見直し、運行時間をこれまでよりも長くしたこと、第2にお客様の乗降に時間がかかりがちな駅の停車時間や運転間隔を調整し、ダイヤの遅延を解消したこと、第3に土休日の運転本数の増加といった点が挙げられます。特に始発終電時間の見直しについては、お客様のご意見としても、多く要望が寄せられていた項目でありました。

 ダイヤ改正の効果として、2019年4月に3分以上遅延した列車本数は前年同月比で49%減少しました。特に4月は、不慣れな学生の集中などにより例年ダイヤが遅れがちでしたが、今年に関しては遅延に関するお客様からのご意見はほとんど頂いていない状況です。

 運転本数の増加については、これまで10分間隔で運行していた土休日の列車を9分間隔に変更しました。その結果、お客様の利便性が高まったと思いますし、運行本数を増やしたことでこれまで運行していた臨時列車を出す必要がなくなり、我々としてもメリットが生まれています。

 お客様の反応としては、今回のダイヤ改正について肯定的に受け取ってもらっているという認識を持っています。

「ビール列車」や「多摩モノまつり」といった各種イベント開催、沿線情報誌「たまもの」の発行など、沿線地域との連携についても積極的に取り組まれています。

 ビール列車は、当初は多摩モノレールの知名度アップを狙って企画したイベントです。このイベントは大変な盛況で、募集を開始したその日のうちに応募者が一杯になってしまうほどの人気企画となっています。また、毎年11月にはモノレールの車両基地を地域の方に開放して「多摩モノまつり」を行っており、こちらも盛況です。さらに、昨年11月には、開業20周年記念事業として「さ、いこう!な 見晴らしツアー」を開催しました。多くの家族連れの方にご参加いただき、車窓からの景色や、沿線の魅力を楽しんでいただきました。

 我々は東京都の第三セクターなので、鉄道事業を行うだけではなく、利益を積極的に地域に還元していかなければなりません。そのような観点から、各種イベントの開催や、地域との連携に取り組んでいます。沿線自治体とも、定期的に担当者レベルでの実務者会議を開催しており、沿線地域の発展のためお互いに協力できることなどを話し合っています。

今後の延伸計画についての進捗状況を教えてください。

 2016年4月、交通政策審議会の答申がありましたが、これを受けて東京都と弊社と市では連絡調整会議を立ち上げ、事業費や採算性などについて検討を実際に進めています。 連絡調整会議は年に数回開催されます。詳細については、申し訳ありませんが会議自体が非公開となっているため、申し上げることは控えさせていただきます。

最後に、将来を見据えた抱負をお願いします。

 第1に、公共交通機関としての最大の使命である「安全の確保」をこれからも第一に考えていかなければなりません。そのためにも日々の確実な点検や計画的な設備更新を実施するとともに、社員教育をより一層充実させていきます。また、必要な人員の増員などを行うことによって、より一層安全を高めていく必要があります。今後も安心してお客様にモノレールを利用していただくために、絶えず努力していきます。

 第2に、お客様サービスの向上を図っていきます。いつまでも古い駅だと思われないように、駅舎のリニューアルなどを行い、運行情報のモニター設置なども進めていく予定です。また、より柔軟にダイヤ改正も行っていきたいと考えています。

 第3に、ブランディング戦略です。多摩モノレールと言えば、車窓からの見晴らしが良いという評判があります。そこで、「さ、いこう!な 見晴らしを。」というブランドスローガンをつけ、そのブランド化に向けた取組みをスタートしました。

 これまでの20年間、公共交通機関の一つとして多摩地域とともに歩んできました。これからもその信頼を損なわないよう努力を続けていきたいと思います。

どうもありがとうございました。


(インタビュアー:中西 英一郎)

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