多摩けいざい
特集 多摩のうごきを知る
東芝府中事業所に迫る
2019年4月25日
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今回の特集では、府中市の北部に約65.5ヘクタールの敷地面積を持つ東芝府中事業所について取り上げます。市内のみでなく多摩地域全体の経済に対して大きな影響力を持っている同事業所。その概要を紹介するとともに、様々な地域との繋がりに焦点を当て、地域と企業とが共生していくためのヒントを探ります。
東芝府中事業所の概要
地域住民にとって府中事業所の顔とも言える「エレベーター塔」。地上135m、地下15mの高さを持つ。
東芝府中事業所内には、複数の東芝グループ会社の製造ラインや研究開発施設、エレベーターのサポートセンターなど、様々な機能が配置されています。具体的には、上下水道の監視制御システムや電気機関車など、社会インフラに関する製品の製造を行う「東芝インフラシステムズ」、原子力・火力などの発電機器や送配電機器の製造を行う「東芝エネルギーシステムズ」、エレベーターの製造などを行う「東芝エレベータ」など、様々な東芝のグループ会社が同事業所内に拠点を有しており、東芝グループの従業員だけで約6,000名、協力企業等を含めると、約10,000名の従業員が同事業所で働いています。
同事業所全体の製造品出荷額は、年間2,500億円~3,000億円程の規模を誇っており、多摩地域で最も製造品出荷額の大きい府中市のうち、約3割のシェアを占めています(図1参照)。多摩地域全体で見ても、約5%のシェアを占めており、その影響力の大きさが伺えます。また、時系列で見ると、従業員数・製造品出荷額ともに2000年時点より増加しており、地域経済における同事業所の重要性はますます高まっていると言えます。
図1 多摩地域の製造品出荷額等(2016年、従業員4人以上事業所)
(出所)経済産業省「工業統計調査」及び東芝府中事業所より
そもそも、同事業所が現在の地に立地したのは、戦時中の1940年まで遡ります。当時の府中事業所は、電気機関車や電気炉の製造拠点として稼動していました。その後、1967年には、エレベーターなどの昇降機を開発・製造する拠点が完成。また、2010年には「スマートグリッド研究棟」が、2015年には「水素エネルギー研究開発センター」が完成するなど、時代の潮流に合わせて新たな機能を付け加えてきました。その結果、同事業所は現在も東芝グループの社会インフラ部門を牽引する主力工場として、確固たる地位を築いています。