多摩けいざい
特集 多摩のうごきを知る
多摩地域における民泊の動向
民泊事業者インタビューNo.01
2018年10月5日
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お話を伺った方:中桐有道さん
取材日:2018年9月14日
民泊を始めたきっかけについて教えてください。
以前から民泊事業に関心を持っており、2017年の初め頃から動き出しましたが、正式に民泊事業を始めたのは、法律が施行された今年の6月15日からになります。
もともと、八王子市に住んでいましたが、3年ほど前に港区のマンションに引っ越しました。現在の家は、母が住んでいた家で、私も5年間母の介護をしていました。その後、母が亡くなり、八王子から港区に移り住んだことによって、八王子の家が空き家になったというのが民泊を始める直接的なきっかけです。
八王子の家は、もう10年以上前に建てたものですが、当時かなり斬新なデザインの家を作りました。空き家になったあと、その家を売るとか貸すとか、色々な話をしていたのですが、ちょうど民泊の話が盛り上がっていた時期だったこともあり、新聞やネットなどで民泊の情報を集め始めました。
その後、ネットで見つけた個人事業で民泊コンサルティングをやっている方とコンタクトを取り、様々なアドバイスや管理会社の紹介等を受けながら、実際に民泊を行うことにしました。家具や寝具、細かな雑貨や飾り、Wi-Fi環境、その他消耗品など、コンサルタントが用意したリストを見ながら必要なものを揃えました。初期投資額としては、コンサルティング手数料を含め50万円以上かかっています
私の場合、最初に信頼できるコンサルタントと出会えたことが良かったと思っています。全てを一人でやるのは大変ですから。
実際に民泊を始めてみて、いかがでしたか。
民泊を始める前は、コンサルタントや管理会社の方に「多摩地域だと、稼働率は2割くらいじゃないか」と言われていました。しかし、蓋を開けてみると現在7割前後の稼働率となっており、かなりの需要があることに驚いています。
収益のうち、経費の割合は3~4割程度。管理会社への支払いを含め、火災保険、水道光熱費、町内会費など様々な出費があります。消耗品の購入などは、管理会社を通じて行っています。
家を利用されるゲストの居住地域は、欧米が5割、アジアが3割、残り2割が日本といったところです。全国平均では、アジアが全体の7割ほどを占めていますが、八王子という地域性も含めて欧米のゲストが多くなっているのが特徴です。また、最近では日本人ゲストの利用者も徐々に増えてきています。
欧米のゲストのほうが、部屋の使い方やゴミ出しなどがきっちりされている方が多い印象はあります。国によっては、日本よりゴミ出しのルールが厳しいところもありますから。
私の場合、「家主不在型※」の民泊なので、基本的には契約した管理会社が全てやってくれるのですが、直接ゲストの方とお会いして、対面でお話しするケースもよくあります。
ゲストの方は、どのような理由で八王子に滞在されるのでしょうか。
ゲストの滞在目的は様々です。半分くらいは観光目的で宿泊されますが、もう半分は違うニーズがあると感じています。例えば、息子が日本の大学に留学していて会いに来たとか、親戚や友人に会いに来たとか。日本人のゲストの方だと、会議や懇親会を持ちたいという理由で宿泊するケースも増えています。
また、観光目的の場合、都心と富士山の中間にあるということもポイントです。それと、私の家の場合、駐車場があるので、レンタカーで来る方が多いのもひとつの特徴かもしれません。
盲点だったのが、八王子は東京のセンターから「近い」という感覚を外国人が持っていることです。もちろん、遠いとおっしゃる方もいますが、特に欧米の方を中心に、都心まで電車で1時間とか、最寄り駅徒歩10分、15分という距離は、「近い」という認識をされる方が多いようです。これは民泊をやってみて初めてわかったことです。
※家主不在型 住宅宿泊事業法(民泊新法)では、住宅宿泊事業(民泊)について、「家主居住型」と「家主不在型」の二つにタイプに分類している。「家主居住型」とは、「届出住宅に人を宿泊させる間、住宅宿泊事業者が居住」しており、「住宅宿泊事業者が一時的な不在を除く不在とならない」場合と定義されている。また、「家主居住型」に該当しない届出住宅は、全て「家主不在型」に区分される。「家主不在型」の場合、基本的に住宅の管理業務を自分でおこなうことはできず、住宅宿泊管理業者に委託しなければならないと規定されている。