多摩けいざい

お客さま景気動向インタビュー

南観光交通株式会社

代表取締役社長 中澤洋氏

2018年10月25日

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 1964年に創業し、今年で54年目を迎えた同社。いち早く地域のニーズを捉え、福祉タクシーの運行を開始した。現在では、養護学校、福祉施設への送迎や丘陵地タクシーの運行など、福祉事業を幅広く展開するほか、大学や企業の送迎バス、観光バスも請け負う。地域からの信頼も厚く、地元住民の生活になくてはならない存在となっている。

当社について


代表取締役役社長 中澤洋氏

 先代が日野市のタクシー会社を受け継いだことが現在の当社の原点となっている。その後、私が代表取締役になり、地元日野市が実験的なモデル事業を募集していたことをきっかけに、福祉事業に参入した。当時、車いすの社員がいたことで、他の社員が介助をできるようになっていたことも新事業参入への後押しとなり、車いすに乗ったまま運ぶことができる福祉タクシーの運行を開始した。現在では養護学校の通学バスや福祉施設への送迎バスを運行するなど、福祉に関する事業を幅広く展開している。

 当社が本社を置く日野市や隣の多摩市は、坂道が多く、高齢者の移動が難しいという課題を抱えていた。そこで当社では、今ほど高齢化が進んでいない1988年から、日野市と高齢者向けのバスの運行を始めた。2003年には、「丘陵地ワゴンタクシー かわせみGO」の運行を開始し、バスが通ることができない丘陵地で廉価で利用できるタクシーとして利用されている。このような取組みを積み重ねたことにより2013年に東京都福祉のまちづくり功労者に対する知事感謝状をいただいた。

 その他にも、地域を巡回するタクシーの利点を活かし、子供が突然の犯罪に巻き込まれそうになったときに、タクシーに助けを求めることができる「タクシーこども110番」や、災害時に現場の情報をいち早く東京都災害対策本部及びニッポン放送と共有する「防災レポート車」の運行などにも協力している。

当社が保有する車両

業界動向について


 当社では、バス事業とタクシー事業を行っており、バス事業では安定的な収益を上げている。一方で、タクシー事業では、都心の初乗り距離短縮運賃が導入され、今後三多摩地区でも同様の運賃形態の導入が予想されることから、対応していかなければならないと考えている。

 2016年の軽井沢の事故を受け、安全性向上に向けた取組みがより一層求められている。当社では、「輸送の安全確保」が当社の社会的使命と認識しており、その使命を達成するため、安全に関する基本方針を公開している。これまで積み上げてきた地域の信頼に応えるべく、安全性向上に向け取り組んでいきたい。

 人材確保については、業界全体と同じく、当社でも不足傾向にある。特にタクシー事業においては、人材が不足している。そのような中で当社に入社してくる人材は、従業員の紹介による入社が多い。免許の取得支援制度などを充実させ、人材確保に努めたい。また、当社では、女性ドライバーが活躍している。現在3名のバスドライバーと、5名のタクシードライバーが在籍しており、女性活躍は今後重要なキーワードになると考えている。

今後の事業展開


 これまで当社は、日野市の青年会議所や、法人会青年部、商工会など地域の様々な場でネットワークを築いてきた。その結果、事業や会社に様々なフィードバックを得られたと感じている。地域での繋がりと培ってきた経験をもとに、地域の信頼を積み重ね、継続的に事業を行っていきたい。


(インタビュー日時: 2018年9月5日)

会社概要

南観光交通株式会社
代表取締役社長: 中澤 洋
本社所在地: 東京都日野市程久保8-3-2
業種: 乗用旅客自動車運送業

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